言の葉#2『アクティベイター』 沖方丁

読了後の言の葉

あらすじ

 近未来の日本。人間の脳と機械を接続し、超人的な能力を引き出す技術「アクティベイト」が実用化され、特殊部隊「アクティベイター」が結成された。主人公・大賀慧(たいがけい)は元自衛官でありながら、ある事件をきっかけにチームを離れていた。しかし、謎のテロ事件と旧友の死を機に、再び戦場へと身を投じる。アクティベイト技術の裏に隠された国家と企業の思惑、己の過去と向き合いながら、大賀は暴走するシステムに立ち向かう。超技術と人間の倫理が交錯する中、彼が最後に下す決断とは——。

感想

 読み終えた後、右口角が自然と上がった。途中のアクションシーンは、「映画」を見ているようだった。実際には、自分の想像力の弱さに少し攻撃された。それでも、爽快なアクションシーンは、見ものだった。権力の示し合いや責任の追及、逃避は、もうそれは現代社会そのものだった。日頃、知ることのできないその内面的な思考部分を言語化によって、社会と自分をつなぐ歯車になっているようだった。その内面的な思考、次の行動への予測を読む手は本当に止まらなかった。読みながら、体を動かしたい人には、おすすめすぎる作品だった。

この作品の中で、強く惹かれた言の葉がこれ。

私を撃って(シュート・ミー)

女がすすり泣きながら言った。

                               189頁 2行目より

 この一節だけで、何倍にも想像が膨らむ表現かなと。前後の表現を踏まえても、この繊細な寂しさを自分の頭の中で、多岐にわたって、想像できることが嬉しかった。単純な表現で膨らませる。良くも悪くも、この広げられるのが言葉の面白さだと思っている。足りない部分を補ってしまうことが、人間らしいのか、日本人らしいのか…。

コメント

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